暗闇のスキマから月明かり
今日は大した用事もないから、愁蔵の傍に居てやるか…。


付けっぱなしのテレビの番組の内容なんて、分かるわけがない。だけど俺は見る…。
愁蔵が、いつも見てるから。


俺は只の猫…ではないのかも。
何故なら、喋れるみたいだから。


愁蔵が、優しく俺に話かけてくるから、自然と喋れるようになったのかも知れない。

でも、それはあえて秘密にしている。
だって、そんなことをしたら……



きっと、俺は……此処には居れなくなる。

きっと、今までの絆が壊れそうな気がしてならないのだ。



俺は、愁蔵の傍に居たい……ずっと、死ぬまで。



……悲しいこと考えてたら、泣きそうになってきた。


『にゃー……』

トコトコと歩き、愁蔵の足元へ向かった。

「みぃ助、今日はヤケに甘えん坊だな〜?よいしょっ」


飯を作ってる最中なのに、ちゃんと構ってくれる…。あ、抱っこしてくれるのか…?

ゴメンな。


その気持ちを言葉の代わりに、愁蔵の胸板にスリスリと顔をこすりつける。


愁蔵の匂い…体温が心地良い…。


『ゴロゴロ……』


「よし、また後でな」


俺は、ぴょーんと、ジャンプして着地すると、トコトコと愁蔵のベッドの上で丸くなった。


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