君に、
*-----*-----*------*-----*--
亜姫と昼飯を食べ終わって。
俺は一人、図書館に向かっていた。
図書館は、4舎の一階の一番奥にある。
教室はすべて1舎と2舎、3舎に集められているので。4舎へは、移動教室以外、滅多に行くことがない。
そのせいか。
昼休みの図書館に行く廊下には、誰もいなくて。
気持ち悪いほどに、静かだった。
ふと、誰かが後ろから走って来る音がした。
パタパタと、スリッパと廊下がぶつかる音。
「ナッツー♪」
誰かが後ろから、俺に覆い被さった。
その勢いに、俺は思わず前に転びかける。
「ぉわっ!!!」
「なになに!?図書館行くの!?!?」
俺は、背中に乗っている、その、高い声の持ち主を見た。
長い茶色の巻いた髪。
長いつけまつげ。
小さな唇には、ピンク色のグロスが塗られている。
何より、甘ったるい香水の強いにおいがした。
「リカ」
「ナツ!!ひっさびさ!!」
ようやくリカが背中から降りる。
彼女は降りるやいなや、俺の唇に自分の唇を押し当てた。