君に、
大丈夫。
そう言ったものの、学校はもう、完璧に遅刻だ。
まぁいっか。
心の中で呟く。
一日ぐらい、ずる休みして何が悪いんだ?
時には息抜きをしたくなる。
それが人間だろ??
自分に対して変な格言を勝手に言って、自己満足で頷く。
そんな俺を彼女はまだ、心配そうに見た。
「あ、いや!!本当、大丈夫なんでっ!!」
俺は、笑ってみせて。
その場から離れようとした。
「あ、ちょっと待って!!」
そんな俺を、彼女は引き止める。
それから、紙袋に手を突っ込んで林檎を一つ、取り出した。
「これくらいしか出来ないけど・・・お礼」
彼女が笑って。
小さな口から、八重歯がのぞいた。
「・・・ありがとございます」
俺はその林檎を、素直に受け取った。
彼女の天使の笑顔に、見とれながら。
不意に電車が来て。
大きな音をたてながら隣に止まった。