君との世界。[短編38P][企画]
本気なのか?
「ネーブル、お前、今日暇?」
俺は大学の食堂で、たまたま見かけたオレンジ色の髪の毛の男に声をかける。
「ちょっと、流さん、ネーブルってなんすか」
ネーブル……もとい、加瀬純一郎(かせ じゅんいちろう)が、学食のトレイを持ちながら嫌そうな顔をした。
サークルで一緒だった一年生だが、オレンジ色の髪がかなり特徴的なやつだ。
「なんだよ、オレンジって呼ぶなっていうから変えてやったんだろ。八朔(はっさく)の方がいいか?」
八朔と聞いてますます純一郎は嫌そうな顔をする。
「ネーブルでいいっす……」
「で、ネーブル、暇か? 遊ばねぇ?」
「ミューちゃんいるなら、暇ですけど!」
純一郎は目をキラキラさせて俺を見る。
一度ミューに会わせたら、可愛い可愛いとえらく気に入ってしまったらしい。