あれから8年、それから2年
「龍 おはよう。今日はお弁当いらないんでしょ?」

「あぁ うん」
僕は聞き取れないほど低く言って、朝ごはんを食べ始めた。

「良かった。お弁当作るの疲れちゃうわよ。」

母さんは水亜の前髪をピンで止めてやった。

僕は何も話さずに、ご飯を食べてテレビを眺めた。

詐欺だとか裁判の判決だとか、随分面倒な内容だった。朝は思考回路がもつれて何を考えるのにも億劫だ。

7時15分。
僕は1分で歯を磨き、自分の部屋に駆け上がって、すごい速さで制服を着た。

「母さん 行ってくる」
「は〜い いってらっしゃい」
母さんの甲高い声。
僕はドアを開けて外にでた。




< 5 / 68 >

この作品をシェア

pagetop