雪峠
肩で息をする沖田は、支えきれなくなった体を地べたに座り込ませた。
激しい咳と共に、口の中に広がる生暖かいモノ。
それは、沖田の最後が近づいている証拠でもあった。
「猫も…猫も突けない……」
譫言の様に呟き、だんだんと掠れゆく視界を空へと向ける。
「近藤さん…土方さん…、私ももう、そちらに逝っても…いいですか?―…」
そしてその言葉を最後に、ゆっくりと瞳を閉ざす。
青年はもう二度と、眼を開ける事はなかった―…。
はらはらと舞い散る桜は、彼の死を悲しむかの様に、ゆっくりと花びらを散らせていった…
享年25才。
若すぎる天才剣士の死だった。
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