Love is over
「急ぎなさい!!母ちゃん車エンジンかけて来るから、さっさと来なさいよ!!」



あーもう!
急ぎなさいって言われても俺まだパジャマだし、寝癖あるし、飯食ってねえし!!

でもそんな暇はない。自分でもそう分かっていたから、まだ新品の匂いがする学ランを急いで着た。

顔を洗うと同時に少量の水を手に取り、バシャッと髪にかけ、テーブルに置いてあった菓子パンを持って、俺は急いで家を出…………



ようとしたら、階段から眠たそうに降りてくる兄ちゃんが『拓真』と俺の名前を呼んだ。


「なんだよ~!!マジ、急いでんだって!!」


俺は靴を履くのと、兄ちゃんに返事をするのに同時進行。

俺ってすげえ。



なんて密かに心の中で思っていると、兄ちゃんがポンッと手の平サイズの物を投げてきた。

それはよく見ればワックス。



「入学式は肝心だぜ」

「サンキュー、兄ちゃん!!」



兄ちゃんに感謝しつつ、俺は母ちゃんが待つ車へ走った。


「早く乗る!!」


俺が乗った瞬間、勢い良く車は発進。

俺もすかさずワックスを髪につける。

そんな俺を見て母ちゃんは『思春期ね』とでも思った事だろう。





そうこうしている内に、車は学校の門を潜った。

そもそも俺の家から学校までの距離はそんなに遠くはなかったし。



でも、校舎の外には人はいない。

つまり校舎の中ではもう入学式が始まっているということだ。





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