恋色物語
「あかり~、起きなさい。今日から新学期でしょ??寝坊して後で後悔するのは貴方なんだからねっ」


「ん・・・」

そうか。もう学校か・・・
勉強して、
友達に気使って。
きっと疲れるだろうな。

そんな事を考えながら、先学期の時の様に制服に着替えて、リビングに下りる。

「おはよ~」

「やっと起きたのね~、早く食べて学校に行きなさいね。初日から遅刻なんてだめよ」

「うん、分かってるよ」
そう言い、食べ終わると私は一通りの準備をしてから家を出た。


「いってきまーす」

ああ、また学校生活が始まるんだ・・
少し憂鬱かな。

そんな事を考えながら歩いていると、駅に着いた。
ちょうど電車が来たみたいで、急いでそれに乗り込んだ。

「ふぅ・・・乗れた・・」

電車の中を見渡すと、色々な学校の制服を着た学生が沢山乗っていて、新たに高校生や中学生になってドキドキしている人も居れば、学校が始まって憂鬱そうな表情を浮かべている人も居る。

電車の中を観察していると、どんどん人が少なくなってきている。
皆、自分の駅で降りていっているようだ。

あ、あれ・・・?
そう言えば、私の駅・・・

「あ!!ここで降りないと!」
と急いで降りようとするが、また扉が閉まり始める。
嫌な予感・・・

_____ぐいっ


誰かに引っ張られた感じがした。
そう言えば、昨日もそんな事があったような。
誰かが私が電車に乗るのを助けてくれた。
今日も、誰かが電車から降りるのを助けてくれた・・・

「ってええ!?」

誰かが電車から降りるのを助けてくれたと思っていたけれど、何故かまだ電車の中に居た。
駅からどんどん離れていくのが窓から見える。

な、なんで!!?


「危ないって・・・っっ、もう少しでアンタ、頭ぶつけてたよ?あれ、痛いんだからなっ!!気をつけなよ!!」

と、彼の顔を見上げてみると、見覚えのある顔がそこにあった。
確か昨日もこんな事があって、助けてくれた・・・

「あ、昨日の・・・」

「そんな事より!!怪我無い?」

「あ、はい・・」
そんな顔近づけられるといくらなんでも恥ずかしい。

それを察したのか、彼は「ご、ごめんっ」と顔を赤くして離れた。

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