恋色物語

この人、顔赤くなってる??
そんな顔されると、もっと恥ずかしいじゃん・・・

「ああ~!!!」
ふと腕時計に目を落とすと、8時15分を指していた。

30分には学校に着かなくちゃいけないのに・・・大丈夫かな。

「ど、そうしたの?」

「あ、いえ、時間・・・」

「あ~、ちょっとギリギリだなあ。ま、2人一緒に遅刻すれば大丈夫だって!」

・・・2人一緒??

よく見ると、その人は桜西高の制服を着ていた。

「も、もしか・・・」

「や、やばい!!早く降りよ!!駅着いた!!」
と、いきなり私の腕をつかみ引っ張って電車から降りる。

「ふう~、危ない危ない。また降りそこねるところだった。」

・・・。
なんか、この人に手とか腕とか引っ張られてばっかりだなあ。

私が無意識のうちに掴まれた腕を見ていたのか、それに気づいた彼は「ごめん」とまた恥かしそうに顔を赤らめる。


・・・なんだか、子供みたいな人だな。

まあ、まだ成人していないから、私もこの人も子供なんだけど。

それが、彼に対しての印象だった。


これから、彼の色々な素顔を知っていき、


     彼と関わり合い

     
     色々な事を経験していく


そんな事は、まだ私は少しも気づいていなくて。



まさか自分が恋愛をするなんて


思っても見なかった。



私の人生は、昨日の彼との出会いから少しずつ変わり始めていたみたい。




それは、私をどう変えていくのか



この時の私は、もちろん知る余地も無かった。



< 5 / 9 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop