恋色物語
この人、顔赤くなってる??
そんな顔されると、もっと恥ずかしいじゃん・・・
「ああ~!!!」
ふと腕時計に目を落とすと、8時15分を指していた。
30分には学校に着かなくちゃいけないのに・・・大丈夫かな。
「ど、そうしたの?」
「あ、いえ、時間・・・」
「あ~、ちょっとギリギリだなあ。ま、2人一緒に遅刻すれば大丈夫だって!」
・・・2人一緒??
よく見ると、その人は桜西高の制服を着ていた。
「も、もしか・・・」
「や、やばい!!早く降りよ!!駅着いた!!」
と、いきなり私の腕をつかみ引っ張って電車から降りる。
「ふう~、危ない危ない。また降りそこねるところだった。」
・・・。
なんか、この人に手とか腕とか引っ張られてばっかりだなあ。
私が無意識のうちに掴まれた腕を見ていたのか、それに気づいた彼は「ごめん」とまた恥かしそうに顔を赤らめる。
・・・なんだか、子供みたいな人だな。
まあ、まだ成人していないから、私もこの人も子供なんだけど。
それが、彼に対しての印象だった。
これから、彼の色々な素顔を知っていき、
彼と関わり合い
色々な事を経験していく
そんな事は、まだ私は少しも気づいていなくて。
まさか自分が恋愛をするなんて
思っても見なかった。
私の人生は、昨日の彼との出会いから少しずつ変わり始めていたみたい。
それは、私をどう変えていくのか
この時の私は、もちろん知る余地も無かった。