恋色物語
気が付くと、校長先生の気が遠くなるほどつまらなくて長い話は終わっていて、美奈と2人で教室まで帰った。
「はぁぁ、それにしても出会いがないねえ、まったく。」
「うん、そう・・・」
”そうだね”そう言おうとした時、ふと爽やかで無邪気な彼の顔が浮かんだ。
その時の私は、何故、どうして名前も分からない彼の顔が浮かんだのかなんて、全然知る余地も無かった。
トントンッ
誰かに肩をたたかれ振り向くと
プニッっと頬に指が突き刺さる感触がして
「ひっかかった~~♪」
と、彼が笑っていた。
「ゆ、幽霊・・・」
「え、幽霊??どこどこ!?」
「ここ・・・」
私が彼を指すと
「俺!?え、いやいや!!俺、人間!!ホラ!」
と、私のほっぺをつっついてきた。
「・・・!!!」
急につつかれたせいで、顔が熱くなって行くのが自分でも分かる。
は、はずかしい・・・
そう思っていると、それに気が付いた彼が
「ご、ごめん!!汚い手で触って!!あ、でも、俺ちゃんとトイレ行った後、手洗ったからね!!?」
と、必死に言い訳をする彼を見て、なんだか面白くなってしまって
「・・・ふふっ」
「え、まじゴメンって!!てか、なんで笑って・・・え!?」