【短編】吾が輩は、
「やめろよ。」


「ハイハイ。」



手を引っ込める。



すると恭也は満足気に再び寝そべった。



そんな簡単にあたしはやめない。



嶌子はにやりと笑うと、そうっと無防備な腹へ手を伸ばした。



勢いよくくすぐる。



恭也は奇声を上げて、身体をばたつかせながら猫パンチを繰り出した。



「お前、やめろっつたろ!」


「いやだよ。」



身体の大きさで勝負は決まっている。



身体をこれでもかというほど無茶苦茶にくねらせる恭也を、嶌子はギュッと胸に抱きすくめた。



「今回はあたしの勝ちだね。」


「くっそう、お前…!」



ぐっぐっと力を入れる恭也。



顔が押し潰されてえらいことになっている。



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