【短編】吾が輩は、
「すいません、反省してます。」



頭を下げると、恭也は「何を今さら。」と鼻で笑った。



「でもまあ、今考えるとそれがあったからお前に注目するようになったんだけどな。」



あ、なんかドキッとした。



恭也は相変わらず、独り言のような調子で続ける。



「俺に下心なしで近づいてくんの、あんまいなかったからな。」


「…恭也、それ女の子達聞いたら怒るよ。」


「ホントのことなんだから怒りようがないだろ。」



嶌子は黙った。



確かに、友達として恭也のそばにいた子は本当に希少だった。



「という真っ当な理由があってお前を変な奴だと思った。」


「はい、納得してます。」



そういえば、と恭也が顔を上げた。



「お前の俺への第一印象はどんなだったんだ?」


「え?」



言えよ、とソラの瞳を借りた恭也の目が光っている。



「あ、この人が噂の恭也か~。
って感じ?」


「…なんか俺としては気分悪い認識だな。」


「羨ましがられてたよ?」


「だから俺はその男どものやっかみも嫌だったんだよ。」



わかんねぇかな、と恭也が後ろ足で頭を掻く。



そして、掻いてからハッとして動きを止めた。



「俺、今、足使った…。」


「うん。」



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