【短編】吾が輩は、
「ねぇ、恭也。」
「ん?」
「具合でも悪いの?」
「いや。」
「そう。」
会話終了。
帰宅した嶌子はまたもや説明出来ない虚無感に苛まれた。
自分は一体、どう思われているんだろう。
恭也は、自分をどういう目で見ているんだろう。
だんだん、積もっていた不安と不満。
嶌子は爆発しないように、それを押さえた。
「ねぇ。」
「ん?」
「お腹、減った?」
「別に。」
無理。
押さえられない。
突然、嶌子は声を荒げた。
「ねぇ!
どうしていつもそんなに素っ気ないの!?
もう少し、あたしと話してくれてもいいじゃない!」
ヒステリックに怒鳴りながら、わかっていた。
自分が子どものように、駄々をこねているだけだと。
でも、どうしても、我慢出来なかった。
どうしても、恭也はあたしを女として見てくれない。
もどかしかった。
もどかしかったのだ。