【短編】吾が輩は、
....
あの日から、数日。
もう、恭也がソラに乗り移って、一週間が経とうとしていた。
急に、恭也は改まって嶌子を呼んだ。
「なぁ。」
「何?」
ちょうど風呂から上がったばかりの嶌子を正面に座らせ、恭也は重々しく口を開いた。
「話があるんだ。」
「だから何よ。」
「俺、お前の猫に乗り移ったじゃん?」
「うん。」
だから、と口ごもる恭也。
そこから、少し沈黙した。
「恭也?」
恭也の様子に、嶌子は不安を感じる。
呼んでも恭也は何も答えない。
「お前、取り乱すなよ?」
「…うん。」
何を言われるんだろう。
まさか、もうソラは帰って来ないとか?
完全に恭也に身体を取られちゃったとか?
頭の中に、恭也とソラが浮かんで消えない。
一人で考えていると、恭也は静かに言った。