【短編】吾が輩は、
「ねぇ、恭也?」
「ん?」
恭也と一緒にベッドに横になりながら、嶌子は恭也を呼んだ。
呼べばすぐ返事が返ってくることが普通になった今、恭也の死のことを聞いて余計に絶望感が襲ってくる。
「なんか、タイミングがおかしいかもしれないけど、言うね。」
こっちを見ている恭也の顔は「何をだよ」とでも言いたげだ。
「あのね、あたし、ずっと恭也のこと好きだったんだ。」
「………知ってたよ。」
驚きもせず、恭也はそう言った。
そして、嶌子自身、バレバレだった自覚はあるのでそう言われても驚かなかった。
「いつからかわかる?」
挙句、質問まで出してみた。
でも正直、自分がいつから恭也を意識していたかなんかわからないので、恭也に正解は教えられない。
「知んねぇ。
ただ、俺と同じくらいだってことはわかる。」
言われて、嶌子は心臓が止まるかと思った。
何気なく言ったけど、今、恭也は…。
「何か反応しろよ、こっちが恥ずかしい。」
「だって、驚いて…。」
「お前、俺の態度に気づいてなかったどでも言うのかよ、とんだ鈍感だな。」
今はそんな恭也の口の悪さにも気にならない。
「あたしに他の女子よりも話しかけてくれてたのは知ってたけど、それは妹扱いだと思ってたし…。」
「アホ。」
「あたし、年下だったから、恋愛対象から外されてるのかなと…。」
「ドアホ。」
言い返す言葉が見つからない。