【短編】吾が輩は、
うっと目に見えて恭也が怯む。



「もしかしたら今が違ってたかもなのにね。」


「…そうだな。」



パタンと恭也が横になる。



こうやって、一緒に寝ることがあったかもしれない。



もしかしたら、結婚までいってるかも。



「あたし、ずっと恭也が好きだったよ。」


「嘘つけ。」



嶌子は身体を捻って恭也を見た。



恭也はフイッと顔を背ける。



「お前、男と歩いてた。」


「え、そりゃあ。」



仕事で同僚と外回りなんていくらでもあったし、飲み会だってこの歳になれば普通に行く。



「仕事じゃなくて。
クリスマスに同僚の男とレストラン行くか?」


「あ。」



それは…。



きっと前に付き合ってた彼氏のことだ。



「あたしにだって少しは彼氏いたもの。
恭也なんかもっといっぱいだったんでしょ?」


「俺は言い寄られた。
お前はどーせ好きで付き合ったんだろ。」


「まあ、それなりに。」



自分から告白したわけではなかったけど。



最後には結構好きになっていたのは事実だ。



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