【短編】吾が輩は、
「恭也、でしょ?」
名前を言い当てると、猫は満足そうに笑った。
この世で猫が笑った瞬間を見たことがあるのは、断言する、嶌子だけだろう。
「ソラになる前のことは覚えてるの?」
相手の正体が一応わかったので、嶌子の方もだいぶ落ち着いた。
もはや開き直り、何でも来いだ。
「こいつになる前か?」
心なしか、少し猫は表情を固くした。
「覚えてないな。」
「そっか。
幽体離脱とかだったり?」
「あぁ、かもな。」
フイッと猫は顔をそらした。
「ねぇ、今の間、ソラはどうなってるのかな?」
「眠ってるんじゃね?」
眠ってる、か。
取り敢えず、ソラに害がないといいな。
嶌子が自分なりに頭を整理していると、猫はとことこと勝手に部屋の中を歩き回った。
「あっ、ちょっと!」
なんだよとでも言いたげに、猫は振り返った。
「勝手に部屋の中入らないでよ。
あんた身体猫でも中身男でしょ。」
「あぁ、悪い。」
しなやかに、猫は戻ってきて、テレビの前に寝そべった。
名前を言い当てると、猫は満足そうに笑った。
この世で猫が笑った瞬間を見たことがあるのは、断言する、嶌子だけだろう。
「ソラになる前のことは覚えてるの?」
相手の正体が一応わかったので、嶌子の方もだいぶ落ち着いた。
もはや開き直り、何でも来いだ。
「こいつになる前か?」
心なしか、少し猫は表情を固くした。
「覚えてないな。」
「そっか。
幽体離脱とかだったり?」
「あぁ、かもな。」
フイッと猫は顔をそらした。
「ねぇ、今の間、ソラはどうなってるのかな?」
「眠ってるんじゃね?」
眠ってる、か。
取り敢えず、ソラに害がないといいな。
嶌子が自分なりに頭を整理していると、猫はとことこと勝手に部屋の中を歩き回った。
「あっ、ちょっと!」
なんだよとでも言いたげに、猫は振り返った。
「勝手に部屋の中入らないでよ。
あんた身体猫でも中身男でしょ。」
「あぁ、悪い。」
しなやかに、猫は戻ってきて、テレビの前に寝そべった。