【短編】吾が輩は、
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恭也と嶌子が出会ったのは、小学生の時だった。
たまたま、委員会が一緒で、学年が一つ違いながらも話すようになった。
男の子を意識するようになった小学生高学年で、嶌子もごく自然に近しい恭也に興味が湧いた。
そして、ごく自然にそれは恋心に変わった。
なんとまあありきたりな話だろう。
嶌子自身笑えてしまう話だが、その片想いは何年も続いたのだから本物だったのだと思う。
やがて、恭也は当たり前に嶌子より一年早く小学校を卒業した。
今思い出しても切なくなる。
あの時、とても寂しかった。
でも、一年我慢すれば、恭也に会えた。
その時の嬉しさったらない。
嶌子は初めて中学で恭也に声をかけられたとき、走り寄ったくらいだ。
そしてあっという間に恭也は卒業。
小学校は六年だが、中学は三年なのだ。
一緒に過ごせた時間はほんのわずかで、この時は小学校と比べものにならないくらいつらかった。
何故なら、高校で恭也に会える保証がないからだ。
一緒の高校に合わせる気もなかったし、それ以前に恭也は嶌子に進学先を教えてくれなかった。