BabyLove








荷物を片していて、夕方になった。まだまだ殺風景な部屋に昔から好きなアーティストの曲が着信音として鳴り響いた。




「はいはーい」
『俺だけど、仲里星也』
「え、仲里?何?」




電話の相手は仲里星也。同じ高校出身の奴だった。3年間同じクラスになることこそなかったけど、同じバスケ部のチームメイトだった。志望校が一緒だということは卒業式の日に知った。ある種俺の唯一の頼りだ。俺より先にこっちに住み始めていた。




『今日こっちに着いたんだろ?』
「おー。今やっと片付いてきたとこ」
『ならナイスタイミングだ。今から飯行かね?』
「おお!まじで?」
『うん。まだ全然こっちのことわかんないだろ?』








電話で言われた通りの場所まで行くと、一緒に部活やってたころより垢抜けた仲里が手を振っていた。最後の大会があったのは6月。仲里は文系で俺は理系だから部活が終わってから今までの半年くらいあまり関わることがなかった。そもそも俺達のチームはわいわい一緒になってつるむような感じじゃなくて、もっとドライな付き合いだった。バスケをやるときとなるとまとまりこそすれ、コートの外では他人。だからまったくあっていないわけじゃないのに久しぶりの再会を果たしている気分になる。






< 2 / 4 >

この作品をシェア

pagetop