さ く ら



授業の終わりを告げる
チャイムが鳴る


それとともに私は
教室を飛び出した



屋上へ行くとさっきより
激しく風が吹く



ブレザーのぽっけに手を入れ

短く折り曲げたスカートが
ひらひらと揺れる



長くのびた髪が
同じ方向へ流れていく






あたりを見回しても
桜の木がない



さっきノートに
落ちてきたくせに




ブオオオオ〜



さっきより風の激しさが増す



スカートが上がる


「きゃっ!!」




その声とともに

私の周りをたくさんの
桜の花びらが囲んだ



台風の目の中に入るような
出れない状況




「え、これ何?誰か!誰か!」




どんどん上の部分が
閉まっていく




そして桜の渦が
私の体に張りついた








パんっ!!!!
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