憧れの恋 ―私はあなたが必要です―
「でもお前、さっき新しく習った単語読めてたじゃん。」
「・・・・・えっ?」
いまなんてっ?
「さっき読めてたんだから、たぶんここの文も大丈夫だって。」
「‥‥‥‥あっ当たり前じゃない!
あんたと違って勉強はしてるのよ!」
「はいはい。」
以外だった。
坂口が他人をほめるなんて。
しかも、私のあの発音を聞いたあとに。
「じゃあそろそろ授業終わるぞー。」
「きりーつ、礼」
坂口はなにも言わない。
また、いつもどうりだ。
ねぇ、なんであのとき私を誉めたの?
あのままけなしていれば、私の弱味を握れたのに。
大嫌いな私の弱味を。
思い詰めたまま、私は教室を後にした。
あのとき以来だ。
このモヤモヤ感。
でも今は、このモヤモヤを受け入れることはできない。
したくない。