ねむねむおーじ<番外>
『琥珀……』
トントントン
「……!」
水原君の声と共に聞こえたのは………
「ヤバイ!水原君っ、早く座って!!」
私は水原君の手からすり抜けて、机に教材をセットし、着席した。
「…………」
『琥っ珀ーー!』
やっぱり……
あの音はお父さんの階段をのぼる音だったんだ。
勢いよく開いたドアと、勢いよく入ってきた、ハイテンションなお父さん。
『なんだ…、ちゃんと勉強してるか』
「あっあったりまえじゃない!」
それにしても危なすぎる!!
あんなとこ見られたら………
私の頭では水原君の見るも無残な姿が思い浮かべられる。
「何しにきたの…?」
早く出ていって欲しかった。
『いやぁ、友達が本当に俺のエンジェルを誑かす猛獣じゃないか確かめに…さ』
エンジェルとか恥ずかしげもなく言わないで、恥ずかしいから。
「もっ猛獣なわけないじゃん!水原君てば女の子に触れたこともない草食系なんだからっっ!」
アハハハアハハハ………
み、水原君のほうが怖くて見れない。
「だからさ、安心して!ね?」
『そんな可愛い顔で「ね?」とか言われたら俺…俺!』
「あぁ〜もう分かったから!とにかく勉強するから!」
私は悶えているお父さんを無理矢理部屋から追い出した。