ねむねむおーじ<番外>
お父さんを追い出した部屋にはまたもや水原君と私の2人きり。
いや、それでいいんだけど。
ドアの方を向いたままの私の背中にチクリと刺さる水原君の視線が痛い。
『そーなんだよなぁ。
俺、草食系なんだよなぁー』
水原君の方を見ると、三角座りをして膝に顔を置いて上目遣いに私を見ている。
うわっほい。
可愛い。
『でもさー突然変異で肉食になるかもね』
「…ごめんってば!
水原君だってお父さんに抹殺されるの嫌でしょ?」
『そら嫌だけどさ』
「じゃあ一緒に隠そ…?」
私がそう言うと水原君は顔を歪めた。
『隠すのは…嫌だ。
今隠してもいずれは分かることだし…、俺は嫌だ』
そう、はっきりと。
『俺は琥珀の友達なんかじゃない』
「うん、分かってる。
分かってるんだけど……」
私はお父さんが水原君にキツく当たるのも嫌だし。
水原君が当られるのも嫌だ。
水原君はああ言うけど、私は私で巧く立ち回ってみせる。