Kissより甘く…
あ~ぁ…嫌われたな。
完全に嫌われた。
もう戻れないかも。
バカすぎる、俺…。


「元気出せ、海蒔」

「…無理だ~」


午後の授業は集中できず
6限目からは保健室で過ごした。
放課後はもちろん
稚空は来なかった。


「久しぶりだな…」

ほんと久しぶりすぎる。
1人で下校すんの。
いつもその日の出来事を
うるさいほど話す稚空がいる。
けど今日は…どこにもいない。


ち~あき、と呼ぶと
笑顔で振り向くあいつが…いない。
やっぱ俺は稚空なしじゃ
何も出来ないんだよ。
…楽しくない。

「ただいま~」

「海蒔!」


玄関に上がるなり、
母さんの声が響いた。


「な、何!?」

「稚空ちゃん1人で帰ってきたわよ?」

「…喧嘩した」

「あんたね~…高校生でしょ!?」


確かに俺が悪いけど、
今日のことに頭を
突っ込まないでほしい。


< 18 / 30 >

この作品をシェア

pagetop