Kissより甘く…
「今年は何が欲しい?」

「何もいらねぇから」


稚空の顔から笑顔が消え
横目で俺は睨まれていた。

「稚空さん怖いですよ」

「海蒔のバカ!」


バンッと背中を叩くなり
早足で先を行ってしまった稚空。

小さくなる背中に
ポツリ…呟く俺の声は…

いつになったら届くだろうか。


「稚空が欲しいよ……」

こんなに思っていることを
きっと稚空は知らないだろう。


ほんとは違う気がする。
そばに稚空がいて、
笑顔でいてくれたら…
俺は何もいらねぇよ。

カレカノの関係になんなくても
俺はそれでもいいんだ。




稚空さえいてくれれば──
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