Kissより甘く…
学校に着く頃には
すでに1限目が始まっていて、
運の悪いことに俺等のクラスでは
担任のセンコウの授業中だった。


日誌で軽く頭を叩かれ、
静かに席につくと
授業は再開された。


「珍しいな?遅刻とか」

小声で隣の席の奴が言う。


こいつは俺の唯一の理解者。
…親友だ。

名前は──

伊田琢矢-いだたくや

中学時代から常に一緒にいた。
今では何でも話せる仲。


「そういや稚空ちゃん」

「稚空が何?」

「顔怒ってたけど…」

「あぁ~…」

「原因はお前か?」

「関係ねぇだろ」

琢矢を睨みつけ、
机の中から教科書を取り出す。



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