ダメな僕のレクイエム

「え… どうしようかな…｣

ちかが迷っていると今度は髪の長い男の方が

「いいだろ？景色のいいとこ連れてってやるよ、ほら｣

と ちかの手を引いた




辺りは薄暗くなり始めていた






部活を終えた森田淳史は腹が減ったので いつもとは違うルートでファーストフード店が並ぶ通りを歩いて帰っていた。

彼が副部長を努めるハンドボール部は夏の予選を見事にくぐり抜け 秋に大きな大会を控えている

最後のシーズンなので自然に練習にも熱が入る。

（バーガーでもかじりながら帰るかなあ…）

そう思っていた森田の目にある光景が飛び込んできた。

どう見てもチャラチャラした二人の男に手を引かれている女の子。


（ん？…え!？まさか青井？）

彼が見たのは少し大人びた感じのちかに間違いなかった

（あいつ 学校休んで何をやってんだ？）







半ば強引に手を引かれて二人に付いて行ったちかはショッピング街を抜け、少し路地の裏暗い道に停めてある黒いワゴン車を見つけた

その瞬間

（何かヤバい!）

ちかは感じた

「あの… やっぱり私帰る｣

後ずさろうとしたちかの背中を金髪の男が抑えた

「何でよ いいじゃん!行こうよ｣

「え でも もう遅いし…｣

そう言いかけた途端 ちかは 身体を掴まれ 二人にワゴン車の中に引きずり込まれた

ドア閉めてロックされ 座席で身体を抑えつけられた。

二人の男が態度を変えた

それからは必死でよく覚えていない

ただ上半身をほぼ裸にされた辺りで車の窓ガラスの割れる音がした。


もうろうとした意識で顔を上げると車の後ろのドアのガラスが割れていて、その向こうに森田が立っていた。

「お前ら!!何やってんだ!!!!!!｣

そう怒鳴ると森田は車のドアを蹴飛ばした!


「ぁあ？! なんだぁ こいつぁ!!!｣

邪魔をされて二人の男は怒りを剥き出しにして車から出てきた。


だがそれ以上に森田は怒り狂っていた。