ダメな僕のレクイエム
車のなかで半裸のちかを目にして森田は自分の中で何かがキレるのを感じた。


「てめ 何だあ!!?」

車からすごみを効かせて降りてきた金髪の男を見や否や、森田は

「このクソ野郎がぁ!!!!!」

と叫び鋭い拳をそいつの鼻っ面に叩き込んだ!

「ぶっ!」

妙なうめき声を出して金髪の男が後ろへ倒れた!

森田はハンドボールのエースだ だから体は鍛えているし 腕力もある


しこたま鼻にキツイ一発を食らった金髪の男は鼻血を出しなが立ち上がったものの、フラついていた


長髪の男の方が金髪の男に近より

「おい!大丈夫か!?」

と声をかけ

「このガキ!」

と叫んだ瞬間に森田の蹴りが腹に食い込んだ

「う…」

長髪の男も腹を抑えてしゃがみ込んだ

森田は車に駆け寄りちかに声をかけた

「青井…大丈夫か…?」

ちかは我に返ると慌てて身体を隠した

「あっ…」

森田は制服の上着を脱ぐと目を伏せながらちかに差し出した

「…」

ちかが上着を受け取った瞬間、森田の背中に激痛が走った

立ち上がった金髪の男が側に落ちていた棒のような物で森田の背中を殴ったのだ!

「つ!!!!!!」

森田は背中を押さえながら振り返り叫び声を上げて金髪の男に殴りかかろうとした

しかし その時 パトカーのサイレンが聞こえ 近づいて来た

様子を目撃した通行人が警察に通報したのだ

二人の男は 顔色を変えると慌ててちかを車から引きずりおろし、その場から走り去った。


森田は地面に放り出されたちかの側に行くと、その場に崩れるようにヘタリ込んだ…


ちかをまともに見る事はできなかったが

不似合いなハイヒールだけが妙に心に突き刺さった…

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