ダメな僕のレクイエム
警察署に保護された二人は少年課の部屋のソファーで保護者が来るのを待っていた。

年配の濱砂と名乗った刑事がコーヒーを二つ持ってきて二人の前に置いた

「学校と家に連絡したから、迎えに来たら今日は帰りなさい。また話しは後日聞くから。」

二人はうつ向いて無言のままだった。

森田は横目でちかを見た。まだ恐怖が抜けていないのか、毛布をかけたその身体はやや震えていた。


森田は何か声を掛けようとしたが、言葉が何も見つからなかった…。

勇気を出して話しかけようと口を開いた時

ドアをノックする音がして 担任の平田と神谷が入ってきた。

「青井ちかと森田淳史の担任です!ご迷惑をおかけしています!」

平田が入ってくるなり興奮気味に言って頭を下げた。それに続けて神谷も頭を深々と下げた。

「ああ 先生方ですか。私担当の濱砂です。さ こちらへ」

濱砂に案内されて平田と神谷はソファーの近くへ来た。


神谷の姿を見ると、ちかは抑えていたものを堪えきれず

「センセ!!!」

と叫びながら立ち上がり神谷に抱き着いた

「青井…」

ちかを受け止めた神谷の胸に顔を当ててちかは泣きじゃくった

「先生…センセ…」

森田にはその姿が心に突き刺さった。

ちかの様子を見た平田が心配そうに濱砂に尋ねた

「あの…刑事さん、彼女…」

濱砂は女性の平田の質問を察して答えた

「ああ その点は心配いらないようです、まあもっとも危ないところではあったみたいですが…彼がすんでのところで助けに入ったみたいで。」

濱砂は森田を見やった

「そうですか…良かった…。森田くんケガは?」

平田はソファーの森田の方へかがみ込んで尋ねた。

「…」

気まずそうにしている森田の代わりに濱砂が答えた

「背中を木刀の様な物で殴られています。あと犯人と争った時に拳を傷めたみたいですね…暑内の医者に応急手当てはしてもらいましたが…」


「そうですか…何から何までご迷惑をお掛けしました…」平田が立ち上がって濱砂に述べた

ドアが開いて婦人警官がちかの母親と森田の両親を連れて入って来た。
< 24 / 45 >

この作品をシェア

pagetop