ダメな僕のレクイエム

翌朝ちかは泣き腫らした目を隠すように眼鏡をかけて出勤した。

朝の光が異常に眩しく感じられた。

ふと左手を見ると昨日森田にもらった指輪が光っているのに気付いた

外してポケットに入れた


ちかは病院に着くと服を着替え病棟のミーティングや引き継ぎを終えると 担当患者を見回りに出た




ちかは神谷の病室の前に着くと大きく深呼吸をして ドアをノックした


部屋に入ると 変わらず神谷はイスに座ったたまま脱け殻のように虚ろな目を宙に向けていた。


「神谷さん…具合はどうですか？｣


もちろん返事は帰ってこなかった…

担当医の話では彼は全ての意識を切り離し

笑う 泣く 怒る

そんな感情すら封じ込めてしまっているらしい


「准？…… センセ？｣

ちかは思わず昔の様に神谷を呼んでみた…

だが何も変わりはしなかった。



ちかは神谷の前にしゃがみ込んでその顔を見上げた

神谷の瞳に自分の姿が映っていた…