ダメな僕のレクイエム
「だったら!…どうしてもっと彼の気持ちに答えないの!?」

「…………」

「彼の気持ち ちかは気付いてるんでしょ!?」

「気持ちって?」

ちかが麻里の目を見つめた。

麻里は少し涙を目に溜めて続けた

「分かってるクセに!彼はちかが好きなの!!!」

ちかはまた目を反らした。

分かっていた、それは。森田が自分を好きになってくれている事は 分かっていた…

けれど…今目の前にいる麻里が森田の事を前からずっと好きなことも 分かっていた。

ずっと仲良くしている心からの親友が 森田を好きなことは 森田が自分に近づくほど ちかの胸を痛めた。

「それは…でも…」

「ちかを責めてないよ。ちかは被害者なんだし…。辛かったと思うよ。


でも…森田くん…このままじゃ浮かばれないてか…可哀想だよ…」


「………………」


暫く沈黙が続いたあと麻里が口を開いた


「神谷先生…?」

「え?!」

ちかは麻里の顔を見た

「神谷先生なんでしょ…」

「……………」

ちかは再び目を伏せた

「気付いてたよ…

最近ちかが変なのも…

急に綺麗になったのも、無理して大人っぽくしてるのも…」


ちかは何も答えられなかった…

ちかの目から涙が溢れた…
その涙が膝に広げた弁当の中に落ちた

まりは少しちかを見ると空を仰いで言った



「………ぶつけてみたら?」



「え?!」

ちかがまた麻里を見た

麻里は少し笑って言った

「ぶつけてみたら?ちかの気持ち…」

「…でも…」

麻里がちかを見た

「でも 何?」

「先生には…奥さんも子供も…」

ちかはうつ向いた

「だから?!」

「だから…って…」

ちかがまた麻里を見つめた

「ぶつけてみなきゃ分かんないでしょ!

どうとか こうとか言っても何も変わらない!」

「…………」

「好きなんでしょ…?」

「………………… 好き…………」


ちかの目からまた涙が溢れた…

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