ダメな僕のレクイエム

二人は海の続く階段に並んで座って 黙ったまま沈む夕日を見ていた…


ちかはまだ神谷の側で震えていた


「先生…｣

神谷の顔を心配そうに見上げたちかの肩を強く抱き寄せると

「何も言うな…｣

と神谷が言った

「はい…｣

ちかは神谷の肩に頭をもたれかけた…





その夜を二人は共に過ごした




ちかの初めての震える身体を神谷は優しく抱いた
ちかは神谷に抱かれながら幸せを噛み締めた



やがて…神谷の腕の中で眠りについた…

そのちかの顔を訪れた朝陽が照らした…


ちかは目を開くと隣で寝息を立てている神谷の頬に手でそっと触れた

そして安心したような顔で神谷の額にキスをした

暫く神谷を見つめていたちかは その腕の中から抜け出すと 裸のまま窓辺へ行き ホテルの窓のカーテンを少しだけ開いた

射し込んでいた一筋の朝陽が束になり 部屋へと流れ込んで来た

陽に照らされて神谷は目を開いた

窓に向かって立っているちかの朝陽に輝く透き通るような白い体が目に入ってきた

窓の外には海がキラキラと輝いていた


ちかは振り返ると微笑んで

「おはよう…｣

と言った

神谷は少しだけ体を起こし

「おはよう｣

と答えた


ちかが笑いながらベッドに潜り込み 神谷に抱きついてきた