ダメな僕のレクイエム
平田は騒々しいクラスを厳しい目で睨みつけた。綺麗な顔をしている彼女はその眼鏡のせいかいつも機会的な冷たさを感じさせる女性だった。

「おはようございます。遅くなりました、先に連絡です。この後一時間目は英語の授業ですが、担当の渋谷先生が急病で金曜日に入院されました」

「え～！？」
クラス一同が声を上げた。

「それで臨時の先生がこの後来られます。皆さんよろしく。では…」

そう言って彼女は普通にクラス朝礼を始めた。

朝礼が終わり、一時間目のチャイムが鳴った。

「どんな先生だろーね」
何人かがヒソヒソ話していた。

ドアが開き新しい教師が入って来た。その横顔は見覚えのあるものだった。

「あ…」

教壇へと向かう彼の歩みがスローモーションに見えた。
その顔は朝陽に光って見えたさっきと同じように白く輝いて見えた。麻里がちかの方を振り返ったがちかは彼から目が話せなかった…。
教壇に立った彼は優しく微笑むと少し高めの声で言った

「みなさんお早うございます。今日からしばらく英語を担当します神谷准です」

そう言うと彼は黒板に向かい名前を書いた。向き直ると

「よろしくお願いします。」

と言った。
ちかは彼と目が合ったような気がした。

そこへ麻里からのメモがちかの机に投げ込まれた

『ね、やっぱかっこいい！』

広げたメモにそう書かれていた。


ちかがメモを隠そうとした時

「そこ!｣

と神谷の声がした。
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表紙・目次

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