月の天使【短編】
「じゃあ、私はこれで。ゆいちゃん、ここに置いておくからね」
そう言うと、優子さんは何か茶色い紙袋をすぐ側の長椅子に置いて病棟の方へ去っていった
「えっと…良かったらパン食べます?」
優子さんが話すチャンスをくれたのだと思って、何か話さないとと思っていると彼女から話しかけられて言葉が出てこなかった
「えっ…パン…?」
彼女は、さっき優子さんが置いていった長椅子の紙袋を指差した
「中に、入ってるの。良かったら食べて」
「あ。ありがとう」
紙袋を開けると、5~6個クロワッサンが入っていた
そこから、1個手に取った
「ねぇ、クロワッサンってどうしてこんな形してるか知ってる?」
「えっ?…形って…」手に持っているクロワッサンをじっと見つめて考える
「…食べやすいからかな?」
そう答えると、彼女が『クスッ』と笑った
「それはね…」
彼女が答えを言いかけた時だった
「淳くん。先生が呼んでる、ギブスの交換だって…」
いつの間にか、後ろに立っていた優子さんが僕に声をかけて答えを聞く間を与えずに病棟の方へ連れて行った
その時、さっき優子さんに感謝した自分に少しだけ後悔した
そう言うと、優子さんは何か茶色い紙袋をすぐ側の長椅子に置いて病棟の方へ去っていった
「えっと…良かったらパン食べます?」
優子さんが話すチャンスをくれたのだと思って、何か話さないとと思っていると彼女から話しかけられて言葉が出てこなかった
「えっ…パン…?」
彼女は、さっき優子さんが置いていった長椅子の紙袋を指差した
「中に、入ってるの。良かったら食べて」
「あ。ありがとう」
紙袋を開けると、5~6個クロワッサンが入っていた
そこから、1個手に取った
「ねぇ、クロワッサンってどうしてこんな形してるか知ってる?」
「えっ?…形って…」手に持っているクロワッサンをじっと見つめて考える
「…食べやすいからかな?」
そう答えると、彼女が『クスッ』と笑った
「それはね…」
彼女が答えを言いかけた時だった
「淳くん。先生が呼んでる、ギブスの交換だって…」
いつの間にか、後ろに立っていた優子さんが僕に声をかけて答えを聞く間を与えずに病棟の方へ連れて行った
その時、さっき優子さんに感謝した自分に少しだけ後悔した