月の天使【短編】
三日月
ギブスの交換を済まして、受付ホールへ急いで車椅子を走らせたがそこに彼女は居なかった
「クロワッサン…」
僕の手の中にはクロワッサンがまだあった
なぜか『クロワッサンの形の理由』を知れば、もう一度彼女に会える気がした

僕は再び、病棟の方へ戻ると彼女ではなく優子さんを探した
優子さんは、ナースステーションに居て他の看護師と会話をしていた
「あの、優子さん…すみません」
僕が声をかけると、小走りで僕の前までやってきて目線を合わしてくれた
「あの、お願いがあるんですけど…」

< 6 / 22 >

この作品をシェア

pagetop