【完】UNBALANCE/チャラ男とお嬢
母親が自殺…
父親がアルバイト……
そうだったのか。
香澄は…お嬢様じゃなかったのか。
俺は……
「湊太、大学はJ大学に行きなさい。
そして経営学を学んで、後を継ぐんだ。
お前はそういう運命の元に生まれてきたんだ。
私もJ大学に入って、父親の後を継いだ。
代々、坂本家の長男はそうしてきている。
私の代で終わらせる訳にはいかないんだ。
わかってくれ。
結婚相手も自分では選べないんだ。
あきらめろ」
だから…だから嫌なんだよ…
「俺は絶対に親父の後は継がない。
俺は自分のやりたい事をみつけて、
俺の道を行く。
香澄とも別れない。
親父の言いなりになんか絶対にならね−よ!!」
親父はふっと笑った。
「うちの会社はR女子大にかなり寄附をしている。
繋がりがあるんだよ。
さっき校長に電話をしてね…
別れないなら、退学にしろと、
退学にしないなら、寄附はもう二度としないと
な?どうする。そんなに好きなら、退学はかわいそうだよな…
家に金がないなら、他のピアノ科のある高校に転校も難しいだろうしな。
退学させて、ピアノも辞めさせてまで、
付き合うのか?」