【完】UNBALANCE/チャラ男とお嬢
「なんだいなんだい、
そうかそうか。
湊太なら、
ここ右に曲がって、
突き当たりのとこにいっから。
入ってみ」
おじさんはまた新聞を読み出した。
「勝手に入って大丈夫ですか?」
「ああ。
ゆる〜い事してるから。
気にすんな〜」
ゆるい?
「ありがとうございました」
私は教えてもらったとおりに、
右に曲がって、突き当たりのドアから中を見た。
ドアの半分はガラスで中が見えた。
しばらくそこからのぞいていた。
グレーのパ−カ−にカ−キ色のダボッとしたパンツ。
相変わらずのパ−カ−と相変わらずのダボっとしたズボン、
相変わらずの短い髪
紛れも無く、
そこには、24歳の湊太くんがいた。