【完】UNBALANCE/チャラ男とお嬢
「香澄さんのコンサートが終わるまで待ちます。
終わったら、島で一緒に暮らしたいと思ってます。
でもそうなると、香澄さんのお父さんが一人になってしまうので…
お父さんも島に来ませんか!!」
そして荷物をごそごそと広げ、
これは誰それの畑で取れた野菜で、持って行けといわれただの、
これは今朝、早朝に釣った魚だの、
島の暮らしをアピールし始めた。
お父さんはその姿を見て、ふっと笑った。
「素敵な島なんだな…
香澄にとっても素敵な島になるだろう。
お父さんはな、お母さんとのここでの暮らしが、
思い出が
とても大切なんだ。
このボロボロの家が愛おしいんだ。
ひとつひとつの傷にお母さんとの思い出がある。
離れられない
離れたくないんだ、お父さんは。
だから、島に行くことはできない。
その気持ちだけありがたく受け取っておくよ。
湊太くんと香澄で、
島でのたくさんの大切な思い出を作りなさい」