【完】UNBALANCE/チャラ男とお嬢
「香澄〜〜〜!!!
ここでいいか〜〜!!!」
島に来て3日目。
実家からピアノがやってきた。
送料が………高すぎる。。
痛い。。。そう思いながら、
明細書に印鑑を押していた。
【坂本】
明細書を見ながらニヤニヤしていたら、
湊太くんが叫んできた。
湊太くんの元へ行くと、
私が前、寒くて眠れなかった部屋に
ピアノが置かれていた。
「いいの?この部屋?」
私が湊太くんに聞くと、
「ていうか、ここしかね−から。
ごめんな。
向きはこっちでいいか?」
「うん」
ピアノを運んでくれた業者の二人が帰ってから、
また、ピアノを見た。
調律してもらわないと…
島まで来てくれるかな。。
ふと外を見たら、
花実ちゃんが庭からピアノを見つめていた。
「花実ちゃん、ピアノ弾いてみる?」
花実ちゃんの家には、古い電子ピアノがあるらしい。
「いいの!!」
「もちろん!」
花実ちゃんはうれしそうに靴を脱いで、
縁側から部屋に入ってきた。
縁側の向こうに目をやると、
小さな庭にたくさんのかすみ草が揺れていた。