【完】UNBALANCE/チャラ男とお嬢
「待ってくれて、ありがとうございました」
次の電車が来て、香澄ちゃんは頭を下げた。
「あ…いや…こっちこそ
手帳ありがとな」
「いえ…」
俺と目…合わせね−な。
しかもやっぱ敬語だし。
「また…な」
「はい」
そう言って、香澄ちゃんは電車に乗った。
「なぁ…俺の名前、
覚えた?」
開いたドア前に立って、こっちを向いてる香澄ちゃんに聞いた。
しばらく下を向いて香澄ちゃんは考えていた。
あれ。やっぱ忘れたか。。
そして真っ赤な顔をあげて俺を見た。
「湊太くん!」
言い終わると同時に
ドアがしまって
電車が走り出した。
ちょっとはにかみながら、
ちょっと大きめの声で呼ばれて、
俺は撃沈された。