【完】UNBALANCE/チャラ男とお嬢
「香澄?どうしたの?」
親友の小百合(さゆり)が心配そうに言った。
今、優しい言葉をかけないでよ…泣いちゃうから。
気づくと涙がポロポロとこぼれ落ちてきて、
湊太くんには見えないように、
背中を向けた。
「なんか気分悪い?
次…私と一緒に一回降りる?」
降りたい…
湊太くんと彼女と
同じ車両にいたくなかった。
「うん…降りる」
小百合がいつも降りる駅で、私も降りる事にした。
次の駅に止まり、
湊太くんたちの横を通り過ぎて、
電車を降りた…
ホームに立った瞬間
ガシッ
腕を捕まれた。
振り向くと、湊太くんが私の腕を掴んでいて、
電車のドアが閉まった。
電車は彼女だけを乗せて、
動き出した。