【完】UNBALANCE/チャラ男とお嬢
ホームに腕を掴まれた私と掴んだ湊太くん、
びっくりして目を丸くしている小百合だけが残された。
「香澄……?
駅員さん…呼んでこようか?」
小百合がちらちらと湊太くんを見ながら言った。
駅員さん?
え?
………あ!
「違う!!小百合…違う!
私の………知り合い…」
いつまでも湊太くんは腕を離さなかった。
「悪いんだけど、香澄ちゃん…借りてもいい?」
湊太くん…もうちょっと笑顔で言わないと……
小百合は私を見た。
「大丈夫?香澄?」
私は頷いた。
「じゃあ…また明日…ね」
小百合はまた、ちらっと湊太くんを見て、
ちょっと頭を下げて階段を昇っていった。
二人になってもずっと湊太くんは腕を掴んだまま。
「なんで、泣いてんの?」