【完】UNBALANCE/チャラ男とお嬢
湊太くんも…ドキドキしているの……?
抱きしめられて、私は手をどうしたらいいのか、
わからなかった。
「あいつ、彼女なんかじゃね−よ」
……彼女じゃないんだ…
なんだろう…この気持ち。
そう聞いてすごくホッとしている自分がいた。
「ホッとした?」
「はい」
………あっ…すぐに答えちゃった。。。
ふっと湊太くんが笑った。
「なんでホッとしてんだよ」
なんで………だろう……
湊太くんは、抱きしめていた手を緩めて、
私を見た。
「一目惚れしたんだけど」
……………えっ?
「あの………誰に?」
湊太くんは笑いながら、私の頭に手を乗せた。
「香澄ちゃんに」
……………えええ!!!
「あ…あの…私……
彼女…じゃなくて、
さっき一緒にいた女の子みたいにかわいくないし」
「かわいいよ」
湊太くんは頭に乗せていた手をぽんぽんとした。
「オシャレじゃないし」
「制服…似合ってるよ」
またぽんぽん。
「髪の毛黒いし」
「黒いほうがいいじゃん」
また……ぽんぽん。
「私なんかより、あの子のほうが…
湊太くんに…お似合いだと思います」
湊太くんは私の頭から手を離した。
「それ…どういう意味?」