【完】UNBALANCE/チャラ男とお嬢
「……髪…切ったんですね…」
私は音楽を止めて、イヤホンを外した。
「あぁ…」
そう言いながら、湊太くんもイヤホンを外して、
自分の頭をくしゃくしゃっとした。
「超切った。こんな短け−の久しぶり。
なんか…猿みて−になってびびった」
頭をかきながら笑っている湊太くんを見て
なんか…なんでだかわからないけど、
胸の辺りがきゅ−っとした。
好きって気持ちがすごく強くなった気がした。
「そんなこと…ない…
前よりも…好き」
言ってから、ものすごく恥ずかしくなった。
ちらっと湊太くんの顔を見たら、
耳まで真っ赤になっていて
「俺が?髪型が?」
と、ボソッと聞いてきた。
だから……
「………両方…」
と、私もボソッと答えた。
「あのさ…今すげ−
手繋ぎたいんだけど」
そう言って、湊太くんは左手を開いた。
「………無理!」
……んだよっ…と湊太くんはちょっとほっぺをふくらませた。
髪の毛が短くなったせいか、
一気に印象が幼くなって
ほっぺをふくらませた湊太くんが
ちょっとかわいいと思ってしまった。