【完】UNBALANCE/チャラ男とお嬢
「あ…そうだ。
先に言っておくけど」
何…なんだろう……
「俺さ、姉ちゃんと二人暮らしだから。
マンションに。
女と暮らしてるって思ったりすんなよ。
姉ちゃん仕事でほとんどいね−けど」
お姉さんの話か。ホッとした。
「何歳?」
「姉ちゃん?にじゅう…4か5。わかんね−や」
ははっと湊太くんは笑った。
「お仕事って?」
湊太くんはちょっと下を向いた。
「まあ…客商売だよ。忙しそうに飛び回ってるよ」
客商売………
「大変なんだね…」
「まあ…な。
香澄ちゃんは?家族」
家族……
「お父さんと…お母さんは10歳の時に、
病気で死んじゃったの。
だからお父さんと二人」
湊太くんは繋いだ手をまたギュッとした。
「そっか…なんかごめん。
つらかったな…」
「……ううん」
私は首を横に振った。