【完】UNBALANCE/チャラ男とお嬢
次の日の朝
いつものように、1時間半早い電車に乗ったら、
香澄ちゃんは本も読まず、音楽も聞かず、
ただ電車に座っていた。
そんな事が今までなかったから、
なんか意外だった。
「おはよ」
そう言って隣に座った。
香澄ちゃんは俯いたままで、
こっちも向かないし、なんも話さない。
なんだ…?
なんかあったんかな…
あ……親に反対されたとか?
『そんな、バカ高校の男やめておきなさい!』
みたいな?
俺とじゃ…不釣り合いだよな…
「どした?香澄ちゃん?」
これは本人に確認したほうがいい。
うん。
俺は香澄ちゃんの手を握った。
その瞬間バッと手を離された。
はあ???
昨日…キスしたよな…俺達。
「なんだよ……」
俺はちょっとふて腐れた。
そしたら
香澄ちゃんは俯いたまま、ボソッとつぶやいた。
「すごく…会いたかった」