【完】UNBALANCE/チャラ男とお嬢
嫉妬
香澄ちゃんの学校の駅に着いた。
一緒に降りて、改札まで見送った。
「今日もあのホームで待ってっから」
朝、早いせいか香澄ちゃんの学校の制服の子はいない。
お嬢様学校の制服の子と、S高の制服の男が一緒にいることは、
周りからすれば、
変な風に見えるんだろうな…
「湊太くん」
香澄ちゃんは俺の手をちょっと握った。
香澄ちゃんの学校の駅だから、周りの目を気にして、俺の方が気をつかって、
手を繋がないようにしてたのに、
香澄ちゃんから繋いできたことに、
バカみたいにうれしくなった。
「どした?」
改札前で、立ち止まって俺は香澄ちゃんを覗き込んだ。
「早く放課後になればいいのに…」
香澄ちゃんは繋いだ手を見つめながらそう言った。
抱きしめてぇ…な…
でもここじゃ、さすがにまずいだろ…
「放課後なんかすぐだって。
ピアノ、頑張れよ」
俺は繋いだ手を離して、
香澄ちゃんの頭を撫でた。
サラサラの黒髪の長いストレート。
折れてしまいそうな細い華奢な体。
知れば知るほど
はまっていく………