【完】UNBALANCE/チャラ男とお嬢
女の子はちょっと暗い顔をした。
「自分の事、汚れているなんて、思っちゃダメだと思う。
それに、純粋って…?
私、純粋なんかじゃない。
男女交際禁止なのに、校則やぶってるし、
ものすごく嫉妬深いし、
嫉妬した勢いで迫ったし。
結局できなかったけど。
だから、私純粋じゃない」
女の子は、クスクスと笑い出した。
「あんた、お嬢様で、もっと…つんけんしたプライドの高い女だと思ってた」
女の子はまだ笑っていた。
「私、お嬢様じゃない。
ピアノ科の特別推薦で授業料入学金免除で入ったの。
お母さん死んじゃっていないし、
お父さんは普通のサラリーマンだし、
家なんか築45年のボロ家だし、
恥ずかしくて…嫌われるの怖くて
湊太くんには言えてないんだけど。
隠し事…だよね…これ」
すると女の子はちょっとこっちに体を向けた。
「そんな大事な事、
なんで私に言ったの?
私に言ったら、湊太に言うかもよ?」