銀杏ララバイ

ちなみにかおるは中肉中背の152センチ、

美容院へ行く代わりに母が毛先を切ってくれていたから
後ろで一つにくくっている。

目立つほどの美人顔ではないが、
色白の大人しい顔立ちの少女だ。

孝史は元々サッカー大好き少年。

髪は汗になっても良いように短く刈り込んでいる。

愛嬌のある狸目が可愛い小学生だ。

最近身長が伸び始めているが、
今のところかおるの肩を越したぐらいだ。



「お兄ちゃん、僕が手をつなぐよ。
転んではいけないでしょ。

僕は高見孝史。お兄ちゃんは…」



施設に入ってからは全く影を潜めていたが、
元来人なつっこい性格の孝史、

少年が返事をする前に手を掴んでいる。

かおるもそんな事を思っていたが、
大きなバッグを持っている自分が言うべき言葉ではない、と感じて黙っていた。



「ありがとう。私はギナマ。」


「ギナマ… 変わった名前だね。
お姉ちゃんはかおるだよ。

僕は11歳、お姉ちゃんは16歳。ギナマは何歳。」


「私は… 16歳。」


「ふーん、お姉ちゃんと同じだ。
だから背が高いのだね。」



ギナマと名乗った少年は、
倒れていたぐらいだから疲れたような顔をしているが、

それでも孝史の問い掛けに言葉少なに応えている。


そして3人はギナマの言う方向へ歩き始めた。

神社仏閣の辺りはこんなものだろう.

遠くには住宅街の明かりが煌いているが、
3人が歩いている所は
相変わらず月明かりが頼りの心細い小道だ。

辺りに家などは一軒も無い。

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