貴方に甘いわがままを


脱ぎ捨てられたガウンをたぐりよせ
やっとの思いで
だらしなく羽織った


瞼の奥
揺れる瞳で


ぼんやりと
貴方を見つめていた


貴方は
小さい冷蔵庫から


ペットボトルの水と
紅い紅いイチゴを取り出して


甘く切なく
わたしに微笑む



……そんな風に微笑まれても


わたしは微笑み返すどころではなく


そんな余裕はなく


そんな体力もなく


『イチゴ食べたい』


そう言うのが精一杯で


優しく抱き起こしてくれようとしてるけれど


座ってなんかいられないし


そんな自信はないし


だから


『寝たまま食べるし』


紅く上気した頬を丸く膨らませ


少しスネたように


貴方に


おねだり



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